夜回り先生の逆説的処方箋 [テレビ]
昨夜(土曜)観たテレビはNHK教育である。
ETV特集「生きていてくれて、ありがとう ~夜回り先生・水谷修のメッセージ2~」
「夜回り先生」こと水谷修さんについてはご存知の方も多いだろう。
元定時制高校の教諭で夜の繁華街を巡回しては
たむろしている中高生に声をかけて非行や犯罪に巻き込まれないよう指導している。
こう文章で書くとPTAのようなお堅いイメージを持たれるかもしれないが、
実際は水谷先生も子どもも素直なやり取りがなされている。
先生: そのタバコ没収ー!
子: えー、なんでだよー!
先生: だってまだ20歳じゃないだろ。
子: 20歳だよー。
先生: いや高校生だ。そのタバコ(箱ごと)握りつぶせ! ギュッだ。
子: え…。
先生: いいから、ほら!
子: (渋々握りつぶす)
先生: もっと強くだ。ギューッと! そうだ。
子: もう吸えないじゃーん。
先生: じゃ買い取る。100円。
子: えー、270円したんだよ。
先生: (隣の子どものタバコも奪い取り)じゃ2つ合わせて300円でまけよう。
はい(引き換えに100円硬貨を3枚渡す)。じゃあな。
といった具合だ。
自らの睡眠時間も惜しんでメールや電話の相談に乗ったり、
全国の中学・高校などで講演を行ったりと精力的に活動している。
そんな姿が前回1年前に放送された。
実際の電話相談や講演の壮絶な内容に先生の語りの上手さも手伝って、
私もグイグイ放送に引き込まれた。
そして大きな反響を受けての第2弾である。
今回はリストカットをしてしまう子どもたちとのやり取りが紹介された。
普通だったら「そんなことするなよ」などと言ってしまうのであるが、夜回り先生は違った。
「リストカットしていいよ。でも親とか先生の前でやれ」
リストカット奨励かよ!って思うだろう。
だけど水谷先生の狙いは周りを巻き込んで事を大きくして、大人たちを動かすことにあった。
「リストカットするのは心の叫びだから仕方ない。ただそれを見えるようにやりなさい」
周囲の力を借りるようアドバイスするあたり、先生もしたたかさを身につけたのだろうか。
もっとも、全部を先生一人で解決できるわけではないからね。
逆説的なんだけど、私も水谷先生の意見に賛成である。
うつ病もそうであるように下手に「頑張れ」と励ますだけでは逆効果。
それに、リストカットでは死なないことをわかった上での先生の言葉なのである。
もちろんすべての子どもを救えるわけではない。
レイプされて自暴自棄になり、数多くの男性と交渉してエイズに感染、
体重は20kg台にまで落ち、最後はモルヒネ中毒で死んでいく少女の話は衝撃的だった。
だけどこれまでさまざまな修羅場を見てきた先生は達観している。
これだけの場数を踏んでこないとシビアな相談に答えることはできないだろう。
だからこその「リストカットしていいよ」なんだろう。
今回もおそらく再放送されることだろう。見逃した方、ぜひ見ていただきたい。
そしてNHKには前回の第1弾とあわせて再放送してほしい。
2本で3時間と長くなってしまうけど。
夜回り先生、うちの近所の公園でだべってる高校生に声かけてました。
うわあほんとに見回ってる、仕事はどうしたんだろう、と思いながら通り過ぎました。
先生「キミたち学校は?」
女子高生「誰?」
先生「夜回り先生って知らない?TVとか本とか出てるけど」
女子高生「えー!ホンモノー!?」
っていうつかみの会話が聞こえました。
by いたちたち (2005-11-07 09:18)
夜回り先生はもっと寝ないとダメ!
by オーガ (2005-11-08 01:26)